• 石狩青年会議所

石狩青年会議所 2018年度 理事長所信

石狩青年会議所
第36代理事長 竹内健太

2018年度 石狩青年会議所スローガン

「少壮気鋭」
~次代が起こす新潮流~

<基本方針>
1.寛容な精神の育成
2.率先垂範による組織力強化
3.会員拡大と新陳代謝
4.青少年に向けた「場」の創出
5.地域への積極的な挑戦

■はじめに

近年の世界情勢を見渡してみると、スコットランド独立運動、ギリシャ財政破綻危機、フランス大統領選挙等、直接的または間接的に地域統合体からの脱退を懸けた国民投票が毎年のように実施されている。そして、ついに昨年、イギリスがEU離脱に向けて欧州委員会との最終交渉に踏み切った。また、アメリカでは、自国第一主義を掲げるトランプ政権が驚異的なスピードで保護政策を推し進めている。このうねりは世界を均質化しようとしたグローバリゼーションの結果、浮き彫りとなった歪みを是正し、地域固有の状況を取り戻そうとする時代の趨勢である。新たな方向性を模索し始めた世界は、今まさに、次代の黎明期に差し掛かったと考えて良いだろう。一方で、北朝鮮核開発問題、ISISの脅威、各国で頻発する紛争やテロリズムは依然として解決の糸口が見いだせない状況にあり、わが国でも戦後初となる憲法改正をはじめとする歴史的な転換期を迎えようとしている。

 

■我々の使命

戦前、日本には全体主義に見られる一貫した儒教的価値観が存在していた。この価値観は、明治維新以降、わが国が新興国として欧米列強と伍するために大きな役割を果たしたことは否定できないが、同時に国家を破壊的な戦争へと導いていった。そして、第二次世界大戦の敗戦を契機にGHQの指揮下に置かれた日本は、アメリカ式民主主義を導入し文化国家として新しい門出を向かえたのである。しかしながら、高度経済成長後の安定期を過ぎ、成熟社会へと突入した頃から、物質的な豊かさを至上目標とする資本主義的な価値体系による思想の統一は不可能となった。日本人は、一貫した思想に基づく価値観を失ったのである。今日的に見られる社会的迷走の根底には、こうした時代背景が影響しているのである。にも関わらず、日本の教育システムは、進学を前提とした主要5教科に基づく評価体系から逃れることができず、偏差値という絶対的な価値観を家庭に押し付けている。この競争から逸脱した子ども達の中には、自己の価値とアイデンティティさえ見失いながら成長し、社会に適合できない状態のまま成人することを余儀なくされている。

この様な状況を打開するためには、まず社会の一員である大人達が揺ぎ無い価値観を培い、子ども達に伝えていく必要があります。また、社会の公器たる企業は、価値観形成の実戦場として社会教育の責務を果たしていかなければなりません。幸いなことに、青年会議所の仲間には企業経営者達が多数存在しています。未来を担う我々青年経済人が、確固たる価値観を企業に根付かせ、人材を育成していくことが、家庭教育の場にも還元されていくのです。そして、青年会議所は、今後も独自の価値観を押し付ける団体ではなく、多様な価値観を持った青年が集う団体として、新たな価値を創出していかなければなりません。全国津々浦々に存在する各地青年会議所が、それぞれの地域に即した価値観を醸成し運動を展開していくことが、彩りに満ちた地方創生の一端を担っていくと確信しております。

■地域連携による「場」の創造

ICTに代表される科学技術の発達は、我々の経済活動のみならず一般生活まで深く浸透し、物理的な距離と時間を無効化することによって、世界を急速にボーダレス化してきました。地域間格差はあるものの、インターネットユーザー数は世界で38億人を突破し、普及率も50%を超え、主要経済圏のほぼ全域を網羅したと言っても過言ではありません。これらの技術は、仮想空間上に無限の「空間」を生み出し、SNSをはじめとした多様なコミュニケーションを可能にしてきました。現在、メディアでの偏向報道問題が取り沙汰されていますが、これらはマスコミュニケーションに限ったことではなく、一国の大統領が戦略的に情報操作していることからも明らかなように、一個人でもいとも簡単に情報を拡散する手段を得たと言っても良いでしょう。また逆に、膨大な情報を何の苦労も無く獲得することができるようになりました。しかし一方で、あらゆる要素が複雑に絡み合う現実空間上の「場」を敬遠する風潮が、自閉症スペクトラムと呼ばれるような精神疾患者数の増加に起因しているのではないかと懸念されています。地域活性化を図るためには、この風潮を払拭し活力ある「場」を取り戻す必要があります。青年会議所には、政策立案実行団体として「場」を生み出すという最大の能力が兼ね備えられており、今後も、この力を強化し最大限に発揮していくことが、潜在的な社会要求に応えることだと考えます。また、より求心力のある「場」を創出するためには、関係諸団体との連携をこれまで以上に密にしながら運動を発展させていく必要があります。

 

■寛容な精神の育成

私達は、異なる世代、異なる環境で生を受け、人生を邁進していく中で固有の価値観と人生観を養ってきました。そして、何かに吸い寄せられるが如く、縁あって青年会議所という団体の一員となりました。青年会議所は、「修練・奉仕・友情」という三信条を掲げ、日々、活発な議論を繰返し、「明るい豊かな社会」の実現に向かって運動しています。集団として行動を起こすためには、組織の総意として一つの共通解を導き出す必要がありますが、この過程において見解の相違や衝突を避けることはできません。ここで、私達は、自己の考えをしっかりと表明できる素養を身につけると同時に、対立する概念をも許容する寛容な精神で他者の意見を受入れる度量を養う必要があります。よく誤解されがちですが、寛容とは何でも許すということではありません。自分とは異なる観念に対して、理解を示し許容する態度のことです。価値観がより一層多様化していく社会において、この姿勢は組織としての基盤になると言えるでしょう。

 

■率先垂範による組織力強化

組織とて個人の集合体です。個々人の成長無くして組織の成長はありえません。社会構造の変化に伴い組織の形態もますます多様化していますが、一様に長所と短所を併せ持っているため、今後も決定的な組織形態は生まれないと考えられます。その他多くの組織同様、青年会議所も管理・統率面に優れたピラミッド型の組織形態を採用しています。とは言え、単なる上位伝達形式でないことは言うまでもなく、ボトムアップやプロジェクト形式を組み込んだ進化型の組織形態と言えるでしょう。但し、これとて全ての局面に対応できるわけではありません。ピラミッド型組織の致命的な欠点として、伝達に時間がかかってしまうこと、構成員が受動的になりやすいこと等が挙げられます。この欠点を補うものの一つに、球体組織という概念があります。これは、組織のメンバーが球体の一定面積を担っているという考え方で、個人の経験・能力によって占める面積の割合は異りますが、全員がその一端を担っている状態を指します。この体制を実現するためには、それぞれが周囲からの期待を改めて自覚し、自分に課せられた役割と責任を能動的に果たす必要があります。ここで最も重要なことは、形態という概念ばかりに囚われず、あらゆる状況に対し俊敏に対応できる機動力を兼ね備えた有機的な組織となるために、構成員全員が率先垂範することにあります。

 

■会員拡大

現在、他LOMと同様、石狩青年会議所も会員減少という問題に直面しています。会員が少なくとも素晴らしい運動を展開しているLOMは各地に存在していますが、懸念しなければならないことは、無意識のうちに嗜好の偏りが生じ、意思統一系統が十分に機能しなくなることです。その結果、似たような運動が繰返えされ、組織は漫然化し機能不全に陥ってしまいます。組織の中庸を保ち、多様性の中から新たな価値を生み出していくためには、人材の獲得により発想の新陳代謝を繰り返し、既存会員と新規会員の調和を図りながら、次のフェーズへと組織を進化させていく必要があります。青年会議所のメンバーは、私達の原動力となる若々しさを常に保たなければならないのです。そこで、本年度は過去の会員数、出向先等の調査を行った上で月毎の新入会員勧誘目標人数を定め、より多くの同志の獲得を目指します。新たな出会いは、既存会員にも刺激を与え、私達自身の成長にもつながっていくのです。

 

温故知新 

我々は、社会実験を繰返し試みる積極果敢な団体です。石狩青年会議所の先輩諸兄が行ってきた事業は、時勢を反映し、その多様性には枚挙に暇がありません。創立35周年を迎える本年、当時の時代背景と運動の相関性から社会的要求の根底を紐解き、成果を再検証することによって、現在に対する洞察力と未来への先見力、次代を見据えた共通認識を確立しておく必要があります。経験豊富なメンバーが次々と卒業する中、中期的なビジョンを定めることは青年会議所の特徴である単年度制の弱点を補完し、不連続の連続と言われる好循環を生み出すためには不可欠であると考えます。また、将来の幹部候補生がビジョン策定に参画することにより、早期の段階から当事者意識の醸成を促します。この意識改革は観念だけに留まるものではなく、率先垂範という具体的な行動になって現れてくることでしょう。

 

青少年の育成

個性とは、個人または、個体・個物に備わった、そのもの特有の性質と定義付けされていますが、私は常日頃、個性とはあえて表現するものではなく、隠そうとしても隠せない個人の根幹をなす本質だと受け止めています。この個性と呼ばれる観念は甚だ厄介なものであり、自我(自分が考える自分)と自己(他人を通しての自分)との間に、様々な葛藤を生み出します。これは、個性というものが、自分と他人の双方から認知された範囲に限定されるもので、他者との接触を介さなければ発現しないものであるからに他なりません。個性を確立し自己成長を促すためには、外部との交流が必要不可欠であり、積極的に身を投じていく必要があります。そして、個性という自己の特性と幾度となく向き合っていかなければなりません。この精神的な経験と成長を経ずして、人格が完成することなどあり得ないのです。本年も、このような場を創出するため、1991年から継続してきた青少年育成事業を継承し、一期一会の体験の中から新たな発見をしていただきたいと考えております。対象は、何も人だけとは限りません。石狩には、たくさんの緑豊かな自然が残されています。五感を通じた経験が、未知の自分と出会うきっかけを与えてくれるでしょう。

 

■地域への挑戦

昨年、2008年度から継続してきた「寒中石狩屋台村」も、10回目の節目を迎えました。1987年から始まった「石狩冬まつり」を踏襲した本事業は、冬季の祭典として市民から認知され、地域に多大なる成果を残してきました。しかし、ここで一旦幕を閉じ、若い会員ならではの柔軟な発想で、本年度オープンを迎える道の駅石狩「あいロード厚田」の活用と、石狩・厚田・浜益の広域連携も視野に入れた新事業構築に参画したいと考えております。すでに便利になり過ぎた現代社会の恩恵を受けた人達をまちづくりに巻き込んでいくことは至難の業ですが、関係諸団体との協働・連携を図り市民と一丸となった事業へと発展させていくことで、さらなる「石狩PRIDE」醸成の試金石となる取組みにしていきたいと考えております。私達は、次代を担う若者として失敗を恐れて萎縮するよりも、輝く明日を目指して積極果敢な挑戦を試みます。

 

■創立35周年を迎えるにあたって

1983年9月29日、小樽青年会議所が「道央経済圏視察バス」で石狩町を訪問したことが縁となり、全国715番目のLOMとして石狩青年会議所が加盟承認されました。節目を迎えるにあたり、本年は創立35周年特別実行委員会を設置し、周年事業の企画・立案に取組みます。この周年事業は、日頃よりお世話になっている公益社団法人日本青年会議所北海道地区協議会地区役員の皆様、スポンサーとなって頂いた一般社団法人小樽青年会議所の皆様をはじめとする、北海道47LOMの皆様、関係諸団体の皆様、石狩青年会議所の先輩諸兄の皆様に感謝の気持ちを伝えるとともに、今後の更なる親睦と信頼関係を構築するための事業にして参ります。また、中期ビジョン策定とともに、本事業を現役メンバーの成長の糧となる絶好の機会として捉え、若手会員の積極関与を促します。

 

■おわりに

根無し草だった私が、石狩に活動拠点を移し青年会議所に入会してから、3年の歳月が流れました。当初は、私企業の理念と青年会議所の理念の間で様々な葛藤を覚えたことを鮮明に記憶しています。綺麗事だと思ったことさえあります。しかしながら、この短い期間でも、青年会議所は、「修練」と「奉仕」を通じて様々なことを教えてくれました。そして、ここで生まれた「友情」は、青年会議所関係者の皆様のみならず、数多くの関係諸団体の皆様との間を「絆」という固い結束力で結んでくれました。今、改めて思うことは、青年会議所という場は、それぞれが属する企業では経験することができない成長の機会を提供してくれることです。それは、この団体が多様な価値体系を持った会員で構成されており、多くの気づきを与えてくれるからに他なりません。石狩青年会議所のメンバーは、来るべき社会像を予測しながら時代の先駆者として率先して行動を起こしていかなければなりません。私達は、市民意識改革団体として常に挑戦し続けます。